
2025年12月14日(日)、長野県災害時支援ネットワーク(N-NET)主催の「信州型避難所システム実働訓練」が、松本市・信州大学松本キャンパスにて開催されました。
つなぎ局は食支援チーム全体のコーディネート役として参加しました。
本訓練は、今年3月に諏訪市で実施された「イタリア式避難所システム実働訓練」に続くもので、当時の課題を改善し、さらにバージョンアップした内容で行われました。
特に今回は、イタリア式にはない「福祉と医療の連携支援」を取り入れ、「信州型」として新しい形を模索する試みとなりました。
食支援チームのミッション
- 〇 栄養バランスの取れた食事メニューを設定し、無理なく継続できる調理体制を構築すること
- 〇 30名を超えるチームの指揮系統を明確化し、提供オペレーションを円滑に進めること
調理と献立づくり
調理については「70〜80%のエネルギーで無理なく継続的に支援する」ことを意識し、複数台のキッチンカーで調理を分担する体制を前提としました。
11月に開催した食支援ラボで検討した1週間分の献立から、訓練当日は以下の2種類のメニューを4台のキッチンカーで分担調理し提供しました。
〇マスタードとハチミツの「ハニマスポーク定食」
〇海鮮みそ豆乳うどん


さらに「おたのしみメニュー」として、あげパン・ホットコーヒー・ホットココアを用意。
寒い時期に、被災者・支援者ともに心温まるひとときを過ごしていただくことを狙いとしました。

提供オペレーション
事前に食堂の図面を確認し、動線や役割分担を計画しました。
しかし、前日に会場入りした際に出入口やテーブル配置が変更されていることが判明。急遽計画を見直す対応を行いました。こうした想定外の事態は、実際の災害でも起こり得るものであり、現場対応力の重要性を改めて実感しました。

チームワークと成果
訓練当日は、キッチンカー事業者、県立大学の学生、防災士など総勢38名で食支援チームを結成。役割分担を確認した後、各係に分かれて活動を開始しました。
初対面のメンバーが多い中でも、「給仕漏れを防ぐ方法」「混乱を避ける動線」「必要なスペースの確保」など、より良い支援を目指して意見を出し合い、協力して改善していく姿が見られました。まさに素晴らしいチームワークでした。
調理は順調に進み、予定通り食事を提供。2種類のメニューはいずれも好評で、提供オペレーションも混乱なくスムーズに進行しました。特におやつキッチンカーは大人気で、行列が途切れることはありませんでした。
信州型避難所システムの目標の一つには「被災者だけでなく支援者のための拠点づくり」があります。疲労回復や栄養補給に甘いものが不可欠であることを、県立大学食健康学科の稲山教授も強調されていました。








今後の展望
今回の訓練では食堂での提供のみを対象としましたが、実際の災害時には在宅避難、車中泊避難、指定避難所以外での避難など多様なケースが想定されます。今後は、こうしたニーズにどう対応するかを検討する訓練の機会も必要だと感じました。
3月の訓練から大きくレベルアップした今回の取り組み。こうした実働訓練の積み重ねこそが、災害時に真に役立つ支援体制の構築につながると思います。
