2025年2月6日(木)、長野市にある長野県立大学にて、
つなぎ局主催による「災害時のキッチンカーによる食支援実動訓練」」を実施しました。
能登半島地震の際に長野県からの要請で行った輪島市でのキッチンカーによる食支援からちょうど1年。
現地での活動を通して課題と感じた点がいくつかありました。
①1台のキッチンカーによってで提供できる食数に限りがある(単発支援しかできない)
②被災者目線に立った長期にわたる継続的な支援が必要(バランスの良い食生活の担保)
③より多くのキッチンカーが支援に行けるための支援環境(支援ノウハウと支援拠点化)
上記の課題を解決するためには、災害時の食支援が炊き出しをボランティアに依存する現状の在り方を
抜本的に考え方を変える必要があると感じていました。
そこで、まずは災害時の支援ノウハウを共有する場を設け
食支援に参加できる事業者さんを広げるための勉強会を開催してきました。
今回の訓練では、①と②の課題にアプローチするため
・複数のキッチンカーでメニューを分担し合うことでどのくらい食数を増やせるか
・被災者目線の食事及び食事環境をどう提供するか
この2つを主なテーマとして、開催しました。
特に、被災者の食事環境として「食堂」を設置することで、
寝る場所と食事場所を分けること、食事しながら会話によるコミュニケーションの促進を図りました。
この「食堂」の設置については、最近注目されている「イタリア方式」の避難所運営を参考にしました。
訓練実施にあたっては、長野県立大学健康発達学部食健康学科 稲山貴代教授、
長野県災害時支援ネットワーク、長野県危機管理部、長野県社会福祉協議会の皆様に
企画段階から一緒に考えて参画いただき、
会場をご提供いただいた長野県立大学の先生方や職員の方にも被災者役でご参加いただくなど
多くの皆様にご協力いただけたこと、心から感謝申し上げます。
<訓練の概要>
1.実施日及び会場
2025年2月6日(木) 12:30~17:30
長野県立大学三輪キャンパス
2. 支援及び被災地想定と訓練の規模
支援要請:長野県からの要請による支援活動
被災地:長野市から130km離れた南信地域の被災地(主菜は被災していない長野市内の飲食店で調理し配達)
支援対象被災者:避難者約200人+避難所から3km離れた集落に50人
支援期間と内容:発災後4日目から2週間、昼食と夕食の1日2食の支援
インフラ:道路は仮復旧(高速道路は使用可)、電気・ガス・上下水道は使用不可
今回の訓練の規模は50人分(うち10人は3km圏内)の夕食支援とし、250人分の場合を検証する
3.訓練参加者
ながの移動販売つなぎ局登録キッチンカー4事業者
(ロジェアターブル、stellina-pitta、イノシカ、デリナカズミ)
長野県立大学健康発達学部食健康学科 稲山貴代教授及びゼミの学生3名
長野県危機管理部危機管理防災課 2名
長野県災害時支援ネットワーク 2名
長野県社会福祉協議会 3名
長野県立大学 約30名
4.訓練人員体制
炊き出し係(①主食・主菜保温担当、②副菜担当、③汁物担当、④主菜運搬担当)
配膳係、運搬係、被災者支援係、記録係、被災者役
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会場となった長野県立大学
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食堂の設置作業
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調理風景(炊飯と主菜の保温)
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遠隔地避難者分の配達
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食事提供風景
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食事風景
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食事内容(白飯、豚肉と高野豆腐の生姜焼き、キャベツと蕪の温野菜サラダ、大根とゴボウ・小松菜・ネギの味噌汁※ゴボウ・小松菜・ネギはフリーズドライ食品使用)
参加された皆さんからは、沢山の感想やご指摘がありました。
「200食を想定すると設備や器具が足りない」(炊き出し係)
「食品アレルギー対応をどこまで想定するか」(炊き出し係)
「車高が高いキッチンカーからの受け取りが人によっては大変」(配膳係)
「食堂で一緒に食べることで会話が弾んだ」(被災者役)
「要支援者向けのカトラリー(フォークなど)が用意されていなかった」(被災者支援係)
「テントの坊風防寒対策が不十分」(被災者役)
「食事が温かく、とても美味しかった」(被災者役)
「食事の量を人によって変えてもらえたらよい」(被災者役)
やってみたからこそわかることが本当に多くありました。
参加者アンケートもまとめて訓練の検証を行い、今後の支援活動や支援の仕組みづくりに活かしていきます。